君住まば訪はましものを津の国の
生田の森の秋の初風
- 歌の意味
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あなたがまだ住んでいたなら訪ねて行ったものを。津の国の生田の森に、秋の初風が吹いている。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 83
詞書「津の国に住み侍りけるころ、大江為基が任果てて上り侍りければ言ひつかはしける」
原文の作者表記は番号外作者であるが、『詞花和歌集』では作者を僧都清胤とする。津の国に住んでいた作者が、任期を終えて都へ上った大江為基に贈った歌である。
生田の森に秋の初風が吹くころ、近くにいた友がもういない寂しさを、訪ねて行けたのにという反実仮想で表している。秋の風が人恋しさを呼び起こすという、前歌に続く初秋の情趣である。
初句「君住まば」は、あなたが住んでいるならばという仮定で、すでに都へ去った為基を指す。
二句「訪はましものを」は反実仮想の助動詞「まし」に「ものを」が付き、訪ねたのにという残念な思いを表す。ここで二句切れとなる。
三句「津の国の」は摂津国のことで、作者の住む土地を示す。
四句「生田の森の」は摂津国の歌枕で、秋風や紅葉と結びつけて詠まれることが多い。
結句「秋の初風」は体言止めで、秋の訪れを告げる風を余情豊かに示す。前歌の第八十二首の「秋風は吹く」を受け、巻頭の秋風の主題を続けている。
いくたのもり:摂津国(現在の神戸市)の生田神社の森、歌枕
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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山城の鳥羽田の面を見渡せば ほのかに今朝ぞ秋風は吹く
- 次の歌
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萩の葉にすがく糸をもささがには たなばたにとや今朝は引くらむ