萩の葉にすがく糸をもささがには
たなばたにとや今朝は引くらむ
- 歌の意味
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萩の葉に巣をかける糸までも、蜘蛛は織女に供えようとして、今朝は引いているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 84
原文の作者表記は番号外作者であるが、『詞花和歌集』では作者を橘元任とする。七夕の朝、萩の葉に蜘蛛が糸を張っている様子を見て、それも織女に糸を供えるためかと見立てた歌である。
七夕には織女に糸や布を手向ける風習があり、その習俗を小さな蜘蛛の営みに重ねたところにおかしみがある。本歌から七夕の歌群が始まる。
初句「萩の葉に」は、秋の草である萩の葉の上にという意で、七夕の頃の庭先を示す。七夕を詠む一連の一首目である。
二句「すがく糸をも」は、蜘蛛が巣をかける糸までもという意で、「も」は人だけでなく蜘蛛までもという含みをもつ。
三句「ささがには」は蜘蛛のことで、この歌の主語である。
四句「たなばたにとや」は、織女に手向けようとしてかという意で、「や」は疑問を表し結句の「らむ」と呼応する。
結句「今朝は引くらむ」は、今朝は糸を引いているのだろうかという推量である。七夕に糸を供える習俗を蜘蛛の糸に重ねる見立てで一首を結ぶ。
すがく:蜘蛛が巣をかける
ささがに:蜘蛛の古名
たなばた:織女星、またそれを祭る七夕
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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君住まば訪はましものを津の国の 生田の森の秋の初風
- 次の歌
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たなばたに衣も脱ぎて貸すべきに ゆゆしとや見む墨染の袖