たなばたに心は貸すと思はねど
暮れゆく空はうれしかりけり
- 歌の意味
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織女に心まで貸しているとは思わないが、七夕の日が暮れてゆく空を見ると、うれしくなるのだった。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 86
詞書「承暦二年内裏の歌合によめる」
原文の作者表記は番号外作者であるが、『詞花和歌集』では作者を藤原顕綱とする。承暦二年(1078)の内裏歌合で詠まれた歌である。
七夕の夕暮れ、二星の逢瀬が近づく空に、自分のことのようなうれしさを覚えてしまう心を詠む。衣や糸ではなく心を貸すという言い方で、前歌の衣の手向けを受けて機知を見せている。
初句「たなばたに」は、織女に対してという意で、前歌の第八十五首と同じ初句を共有している。
二句「心は貸すと」は、衣を貸す風習をふまえ、心まで貸すという言い方にした機知である。
三句「思はねど」は、思わないけれどという逆接で、理屈と実感のずれを示す。
四句「暮れゆく空は」は、逢瀬の夜が近づく七夕の夕空を指す。
結句「うれしかりけり」は、うれしいことだと気づいた詠嘆の「けり」で結ぶ。前歌の衣の手向けに対し、心を貸すという趣向で対をなしている。
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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たなばたに衣も脱ぎて貸すべきに ゆゆしとや見む墨染の袖
- 次の歌
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いかなれば途絶えそめけむ天の川 逢ふ瀬に渡すかささぎの橋