逢ふ夜とは誰かは知らぬたなばたの
明くる空をも包まざらなむ
- 歌の意味
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今夜が二星の逢う夜だとは誰もが知っている。だから織女は、明けてゆく空まで隠そうとしないでほしい。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 91
詞書「橘俊綱の伏見の山荘にて、七夕後朝の心をよめる」
良暹法師が、橘俊綱の伏見の山荘で、七夕の翌朝の別れという題で詠んだ歌である。
逢瀬は世に知れ渡っているのだから、人目を忍んで朝を隠す必要はない、明けてゆく空もそのまま見せてほしいと織女に語りかける。後朝の別れを惜しむ心を、人目を忍ぶ恋の習いを逆手に取って表した機知の歌である。
初句「逢ふ夜とは」は、二星が逢う夜であるとはという意で、七夕の夜を指す。
二句「誰かは知らぬ」は、誰が知らないだろうか、誰もが知っているという反語で、ここで二句切れとなる。
三句「たなばたの」は、織女のという意で、四句以下の主語を示す。
四句「明くる空をも」は、明けてゆく空までもという意で、後朝の別れの時を示す。
結句「包まざらなむ」は、隠さないでほしいという願望である。次歌の第九十二首とともに、七夕の翌朝の別れを詠む歌が続く。
きぬぎぬ:男女が共寝をした翌朝の別れ、後朝
つつむ:人目を忍んで隠す
- 作者
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良暹
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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天の川玉橋急ぎ渡さなむ 浅瀬たどるも夜の更けゆくに
- 次の歌
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たなばたの待ちつるほどの苦しさも あかぬ別れといづれまされり