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水清み宿れる秋の月さへや
千代まで君とすまむとすらむ

歌の意味
水が清らかなので、そこに映る秋の月までも、千年の後まであなたとともにこの家に住み、澄みわたろうとしているのだろうか。
鑑賞
巻第三 秋歌 94

詞書「三条太政大臣の家にて、八月十五夜に水上月といふことをよめる」
 原文では作者名を欠くが、『詞花和歌集』の作者表記によれば源順の歌である。三条太政大臣すなわち藤原頼忠の家で、八月十五夜に「水上月」という題で詠まれた。
 池の水に映る名月を詠みながら、月までもが主人とともに千年も住み続けるだろうと、家の主の長寿と繁栄を祝っている。宴の場にふさわしい賀の心をこめた歌で、本歌から月の歌群が始まる。

 初句「水清み」は、水が清らかなのでという意で、「み」は原因や理由を表す接尾語である。月を詠む一連の一首目である。
 二句「宿れる秋の」は、水面に映っているという意で、「宿る」は月が水に映ることをいう。
 三句「月さへや」は、月までもという意で、「や」は疑問を表し結句の「らむ」と呼応する。
 四句「千代まで君と」は、千年の後まであなたとともにという意で、主人への祝意を示す。
 結句「すまむとすらむ」の「すむ」は、住むと澄むの掛詞である。月が主人とともに住み、また澄みわたるという両義で結ぶ。

すむ:主人とともに家に住む意と、月が澄みわたる意を掛ける
やどる:月の光が水面などに映る
作者
源順
出典
詞花和歌集
前の歌
天の川帰らぬ水をたなばたは うらやましとや今朝は見るらむ
次の歌
いかなれば同じ空なる月影の 秋しもことに照りまさるらむ