天つ風雲吹き払ふ高嶺にて
入るまで見つる秋の夜の月
- 歌の意味
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空を吹く風が雲を吹き払う高い峰で、沈むまで見つづけた秋の夜の月であることよ。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 100
詞書「比叡の山の念仏に登りて、月を見てよめる」
良暹法師が比叡山の念仏に参った折、月を見て詠んだ歌である。
雲ひとつない比叡の高嶺で、西に沈むまで月を見つづけたという。念仏の場であることを思えば、西に入る月には西方浄土への思いも重なっている。高い峰の澄んだ空気と月の清らかさが一体となった歌である。
初句「天つ風」は、空を吹く風という意で、「つ」は古い格助詞である。
二句「雲吹き払ふ」は、雲を吹き払うという意で、月をさえぎるもののない夜空を示す。
三句「高嶺にて」は、比叡山の高い峰でという場所を示す。
四句「入るまで見つる」は、月が沈むまで見ていたという意で、「つる」は完了の助動詞の連体形である。
結句「秋の夜の月」は体言止めで、本巻の第九十八首と同じ結句である。変わらぬ月を詠んだ歌と、高嶺で見尽くした月を詠んだ歌が、同じ結句で響き合う。
あまつかぜ:空を吹く風
たかね:高い峰
- 作者
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良暹
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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秋の夜の月の光のもる山は 木の下かげもさやけかりけり
- 次の歌
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秋の夜は月に心のひまぞなき 出づるを待つと入るを惜しむと