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秋の夜は月に心のひまぞなき
出づるを待つと入るを惜しむと

歌の意味
秋の夜は月のことで心の休まる暇がない。月が出るのを待ち、沈むのを惜しむというふうに。
鑑賞
巻第三 秋歌 101

詞書「京極前太政大臣の家の歌合によめる」
 原文の作者表記は番号外作者であるが、『詞花和歌集』では作者を源頼綱とする。京極前太政大臣すなわち藤原師実の家の歌合で詠まれた歌である。
 秋の夜は、月の出を待つことと、月の入りを惜しむことで、心が休まるときがないという。月を愛する心の忙しさを、出と入りという対で整理して示した、わかりやすく印象的な歌である。

 初句「秋の夜は」は、前歌の第百首の結句と同じ語で歌い起こし、秋の夜の月の歌を続ける。
 二句「月に心の」は、月のことで心がという意である。
 三句「ひまぞなき」は、休まる暇がないという意で、係助詞「ぞ」を連体形「なき」で結ぶ係り結びである。ここで三句切れとなる。
 四句「出づるを待つと」は、月が出るのを待つといってという意で、結句と並列される。
 結句「入るを惜しむと」は、月が沈むのを惜しむといってという意で、四句と対句をなす。前歌の第百首の「入るまで見つる」を受けて、月の出と入りを並べている。

ひま:心のゆとり、絶え間
出典
詞花和歌集
前の歌
天つ風雲吹き払ふ高嶺にて 入るまで見つる秋の夜の月
次の歌
引く駒に影を並べて逢坂の 関路よりこそ月は出でけれ