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ひとりゐて眺むる宿の荻の葉に
風こそ渡れ秋の夕暮

歌の意味
ひとりで物思いにふけって眺めている家の荻の葉に、風だけが吹き渡っていく。秋の夕暮れである。
鑑賞
巻第三 秋歌 107

詞書「題しらず」
 源道済の歌である。ひとりで物思いにふける家に、訪れる人はなく、ただ荻の葉を鳴らして風が吹き渡るだけだという。
 荻の葉音は人の訪れを思わせるものとして詠まれることが多く、ここでは人ではなく風だけが来るという寂しさが、秋の夕暮れの情景に重ねられている。本歌から荻と秋風の歌群が始まる。

 初句「ひとりゐて」は、ひとりでいてという意で、孤独な境遇を示す。
 二句「眺むる宿の」は、物思いにふけって見やる家のという意で、「眺む」には物思いの意が含まれる。
 三句「荻の葉に」は、秋風に音を立てる荻の葉で、本巻の第百八首、第百十一首は同じ語「荻の葉に」を初句に置いている。
 四句「風こそ渡れ」は、風だけが吹き渡るという意で、係助詞「こそ」を已然形「渡れ」で結ぶ係り結びである。ここで四句切れとなる。
 結句「秋の夕暮」は体言止めで、寂しさの極まる時を示して余情を残す。

ながむ:物思いにふけりながらぼんやりと見やる
をぎ:水辺に生える草、葉が風にそよぐ音が秋の風情として詠まれる
作者
源道済
出典
詞花和歌集
前の歌
秋の夜の月に心のあくがれて 雲居にものを思ふころかな
次の歌
荻の葉にそそや秋風吹きぬなり こぼれやしぬる露の白玉