み吉野の象山かげに立てる松
いく秋風にそなれ来ぬらむ
- 歌の意味
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吉野の象山の陰に立っている松は、いったいどれほどの秋風に吹かれて、枝が低く傾いてきたのだろうか。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 110
詞書は前の歌に続き「題しらず」
曾禰好忠の歌である。吉野の象山の陰に立つ松を見て、その姿から過ぎてきた長い年月の秋風を思いやっている。
風に吹かれて低く傾いた松の姿に、数えきれない秋の歳月を読み取るという趣向である。前の三首が一夕の秋風を詠んだのに対し、本歌は幾年もの秋風という長い時間の尺度で秋風を詠んでいる。
初句「み吉野の」は、吉野の美称で、「み」は接頭語である。
二句「象山かげに」は、吉野の象山の陰にという意で、『万葉集』以来の地名である。
三句「立てる松」は、立っている松という意で、ここで三句切れとなる。
四句「いく秋風に」は、どれほどの秋の風にという意で、「いく」は数の多さを問う。前の歌々の一夕の秋風に対し、歳月の秋風を詠んでいる。
結句「そなれ来ぬらむ」は、風に吹かれて低く傾いてきたのだろうかという推量で結ぶ。
きさやま:大和国吉野の山、象山
そなる:風に吹かれて木の枝などが低く傾く
- 作者
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曾禰好忠
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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秋吹くはいかなる色の風なれば 身にしむばかりあはれなるらむ
- 次の歌
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荻の葉に露吹き結ぶ木枯らしの 音ぞ夜寒になりまさるなる