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荻の葉に言問ふ人もなきものを
来る秋ごとにそよと答ふる

歌の意味
荻の葉に話しかける人もいないのに、荻は秋が来るたびに「そうよ」と答えるように、そよそよと音を立てる。
鑑賞
巻第三 秋歌 117

詞書は前の歌に続き「白河院、鳥羽殿にて前栽合せさせ給ひけるによめる」
 原文の作者表記は番号外作者であるが、『詞花和歌集』では作者を敦輔王とする。
 誰も問いかけていないのに、秋が来るたびに荻の葉が「そよ」と答えるという。葉ずれの音「そよ」に、応答の言葉「そうよ」を重ねた機知の歌で、荻のそよぎに秋の寂しさがにじむ。

 初句「荻の葉に」は、本巻の第百十一首までの荻の歌群と同じ語で、秋の花の歌群の中にも荻を詠み込む。
 二句「言問ふ人も」は、話しかける人もという意である。
 三句「なきものを」は、いないのにという逆接である。
 四句「来る秋ごとに」は、秋が来るたびにという意で、毎年繰り返されることを示す。
 結句「そよと答ふる」の「そよ」は、葉ずれの音と、そうだよという応答の言葉の掛詞で、連体形「答ふる」で余情を残して結ぶ。

こととふ:話しかける、問いかける
そよ:葉ずれの音と、そうだよと答える言葉を掛ける
出典
詞花和歌集
前の歌
朝な朝な露重げなる萩が枝に 心をさへもかけて見るかな
次の歌
秋の野の草むらごとに置く露は 夜鳴く虫の涙なるべし