- 歌の意味
- 秋の野の草むらごとに置いている露は、夜通し鳴く虫が流した涙にちがいない。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 118
詞書「題しらず」
曾禰好忠の歌である。秋の野の草むらに置く露を、夜に鳴く虫の涙に見立てている。
露を涙に見立てるのは和歌の伝統的な趣向であるが、それを虫の涙とした点に、虫の声を悲しみの声と聞く心がこもっている。本歌から虫の歌群が始まる。
初句「秋の野の」は、本巻の第百十三首と同じ初句で、秋の野を舞台とする。虫を詠む一連の一首目である。
二句「草むらごとに」は、どの草むらにもという意である。
三句「置く露は」は、草に置く露はという意で、主題を示す。
四句「夜鳴く虫の」は、夜に鳴く虫のという意で、虫の声を泣き声と重ねる。
結句「涙なるべし」は、涙であるにちがいないという推量で、露を涙に見立てる見立ての技法で結ぶ。
- 作者
- 曾禰好忠
- 出典
- 詞花和歌集
- 前の歌
- 荻の葉に言問ふ人もなきものを 来る秋ごとにそよと答ふる
- 次の歌
- 八重葎茂れる宿は夜もすがら 虫の音聞くぞ取り所なる