八重葎茂れる宿は夜もすがら
虫の音聞くぞ取り所なる
- 歌の意味
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八重葎が生い茂る荒れた家は、一晩中虫の声を聞けることだけが取り柄である。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 119
詞書は前の歌に続き「題しらず」
原文の作者表記は番号外作者であるが、『詞花和歌集』では作者を永源法師とする。
雑草が生い茂る荒れた家は、人の訪れもなく何の取り柄もないが、夜通し虫の声を聞けることだけはよいところだという。荒れた住まいの寂しさを、虫の音によって慰めに転じた歌である。
初句「八重葎」は、幾重にも生い茂る葎のことで、荒れた家の象徴である。
二句「茂れる宿は」は、生い茂っている家はという意である。
三句「夜もすがら」は、一晩中という意である。
四句「虫の音聞くぞ」は、虫の声を聞くことがという意で、係助詞「ぞ」が結句の連体形「なる」と呼応する。
結句「取り所なる」は、取り柄であるという意で、荒れた宿の唯一のよさを示して結ぶ。
やへむぐら:幾重にも生い茂る葎、荒れた家の象徴
とりどころ:取り柄、よいところ
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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秋の野の草むらごとに置く露は 夜鳴く虫の涙なるべし
- 次の歌
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鳴く虫のひとつ声にも聞こえぬは 心々にものや悲しき