古里に変はらざりけり鈴虫の
なるみの野辺の夕暮の声
- 歌の意味
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故郷で聞いたのと少しも変わらないことだ。鳴海の野辺で鳴る鈴虫の、夕暮れの声は。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 121
詞書「野に鈴虫の鳴き侍りけるをよめる」
原文の作者表記は番号外作者であるが、『詞花和歌集』では作者を橘為仲とする。野で鈴虫が鳴いているのを詠んだ歌である。
旅先の尾張の鳴海の野で聞く鈴虫の声が、故郷で聞いた声と変わらないと気づき、旅の身に故郷を思い起こしている。「鳴る」と「鳴海」を重ね、鈴の縁で一首をまとめている。
初句「古里に」は、故郷で聞いたのとという意で、旅先から故郷を思う。
二句「変はらざりけり」は、変わらないことだという気づきの詠嘆で、ここで二句切れとなり、以下は倒置で主語を示す。
三句「鈴虫の」は、秋に鈴を振るような声で鳴く虫である。
四句「なるみの野辺の」の「なるみ」は、鈴が鳴るの「鳴る」と尾張の地名「鳴海」の掛詞で、鈴虫の縁語となる。
結句「夕暮の声」は体言止めで、夕暮れの寂しさとともに鈴虫の声を示す。
なるみ:鈴が鳴る意と、尾張国の地名鳴海(現在の名古屋市緑区)を掛ける
ふるさと:生まれ育った土地、また旧都
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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鳴く虫のひとつ声にも聞こえぬは 心々にものや悲しき
- 次の歌
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秋風に露を涙と鳴く虫の 思ふ心を誰に問はまし