- 歌の意味
- 秋風の中、露を涙として鳴いている虫の思う心を、誰に尋ねたらよいのだろうか。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 122
詞書「天禄三年女四の宮の歌合によめる」
原文の作者表記は番号外作者であるが、『詞花和歌集』では作者を橘正通とする。天禄三年(972)の女四の宮の歌合で詠まれた歌である。
秋風の中で露を涙にして鳴く虫は、何を思って鳴いているのか、それを誰に尋ねればよいのかと問いかける。本巻の第百十八首の露を虫の涙とする見立てを受け、さらに虫の心にまで思いを寄せている。虫の歌群の結びの一首である。
初句「秋風に」は、秋風の吹く中でという意で、虫の声の背景を示す。
二句「露を涙と」は、露を涙としてという意で、本巻の第百十八首と同じ見立てである。
三句「鳴く虫の」は、前歌の第百二十首の初句と同じ語で、虫の声を詠み継ぐ。
四句「思ふ心を」は、虫の思う心をという意である。
結句「誰に問はまし」は、誰に尋ねたらよいだろうかというためらいで、「まし」は迷いを表す。
- 出典
- 詞花和歌集
- 前の歌
- 古里に変はらざりけり鈴虫の なるみの野辺の夕暮の声
- 次の歌
- 逢坂の杉間の月のなかりせば いくきの駒といかで知らまし