聞く人のなどやすからぬ鹿の音は
わが妻をこそ恋ひて鳴くらめ
- 歌の意味
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聞く人がどうして心穏やかでいられないのか。鹿の声は自分の妻を恋しがって鳴いているのだろうに。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 124
詞書「永承五年一の宮の歌合によめる」
原文の作者表記は番号外作者であるが、『詞花和歌集』では作者を出羽弁とする。永承五年(1050)の一の宮の歌合で詠まれた歌である。
鹿は自分の妻を恋うて鳴いているだけなのに、なぜ聞く人までが心乱されるのかと問う。他者の恋の声に自らの恋心が揺さぶられる心理をとらえた歌で、本歌から鹿の歌群が始まる。
初句「聞く人の」は、鹿の声を聞く人のという意である。
二句「などやすからぬ」は、どうして心穏やかでないのかという疑問である。
三句「鹿の音は」は、鹿の鳴き声はという意で、秋に妻を求めて鳴く牡鹿の声を指す。鹿を詠む一連の一首目である。
四句「わが妻をこそ」は、自分の妻をこそという意で、係助詞「こそ」が結句の已然形「らめ」と呼応する。
結句「恋ひて鳴くらめ」は、恋しがって鳴いているのだろうという推量で、「こそ」の結びとして已然形をとる。
つま:配偶者、ここでは牝鹿
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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逢坂の杉間の月のなかりせば いくきの駒といかで知らまし
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秋萩を草の枕に結ぶ夜は 近くも鹿の声を聞くかな