古典和歌stream

関越ゆる人に問はばや陸奥の
安達の真弓紅葉しにきや

歌の意味
関所を越えて行く旅人に尋ねたいものだ。陸奥の安達の真弓はもう紅葉していたかと。
鑑賞
巻第三 秋歌 130

詞書「宇治前太政大臣、白河にて見行客といふことをよめる」
 堀河右大臣藤原頼宗の歌である。宇治前太政大臣すなわち藤原頼通の白河の邸で、「見行客」すなわち旅人を見るという題で詠まれた。
 都の白河で旅人を見て、白河の関を越えて陸奥から来た人ならば、安達の真弓が紅葉していたかを聞きたいという。都の白河と陸奥の白河の関を重ね、遠い陸奥の紅葉に思いをはせている。本歌から紅葉の歌群が始まる。

 初句「関越ゆる」は、関所を越えて行くという意で、陸奥への入口である白河の関を思わせる。紅葉を詠む一連の一首目である。
 二句「人に問はばや」は、人に尋ねたいものだという願望で、ここで二句切れとなる。
 三句「陸奥の」は、東北地方の古い国名である。
 四句「安達の真弓」は、陸奥の安達の地に生える檀の木で、歌枕として知られる。
 結句「紅葉しにきや」は、紅葉していたかという問いで、「に」は完了、「き」は過去、「や」は疑問を表す。

まゆみ:ニシキギ科の落葉樹、檀、弓の材とされ紅葉が美しい
みちのく:陸奥国、現在の東北地方
作者
藤原頼宗
出典
詞花和歌集
前の歌
草枯れの冬まで見よと露霜の 置きて残せる白菊の花
次の歌
いくらとも見えぬ紅葉の錦かな 誰ふたむらの山と言ひけむ