色々に染むる時雨に紅葉葉は
争ひかねて散りはてにけり
- 歌の意味
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さまざまな色に染める時雨に、紅葉の葉は張り合いきれず、すっかり散り果ててしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第四 冬歌 143
詞書「題しらず」
時雨は木の葉を染めるものとされたが、その時雨が降り続くうちに、紅葉は染められるだけでは済まず、抗しきれずに散ってしまったと詠む。紅葉を染める力と散らす力が同じ時雨にあるという見方が一首の要である。
前歌が散り敷いた後の紅葉を詠んだのに対し、本歌は散る原因としての時雨に目を向け、以後の時雨の歌への入口となっている。
初句「色々に」 さまざまな色に。紅葉の色の多彩さを示す。
二句「染むる時雨に」 時雨が木の葉を色づかせるという和歌の通念に拠る。「に」は張り合う相手を示す。
三句「紅葉葉は」 擬人化された紅葉葉が主語となる。前歌に続いて紅葉葉を詠む。
四句「争ひかねて」 「かね」は、〜しきれない意。時雨と張り合うことができずに、と紅葉を擬人化する。
結句「散りはてにけり」 すっかり散ってしまった、の意。「に」は完了、「けり」は詠嘆。本巻の第百五十六首「散りはてて」と同じ語で、紅葉の終わりを示す。
しぐれ:晩秋から初冬にかけて、降ったりやんだりする雨
あらそひかぬ:張り合いきれない、抵抗しきれない
ちりはつ:すっかり散ってしまう
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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梢にて飽かざりしかば紅葉葉の 散りしく庭を払はでぞ見る
- 次の歌
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山深み落ちて積もれる紅葉葉の 乾ける上に時雨降るなり