山深み落ちて積もれる紅葉葉の
乾ける上に時雨降るなり
- 歌の意味
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山が深いので、落ちて積もった紅葉葉の、その乾いた上に時雨が降る音が聞こえる。
- 鑑賞
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巻第四 冬歌 144
詞書は前の歌に続き「題しらず」
山深い庵で、乾いた落葉に時雨が当たる音を聞きとめた歌である。「なり」によって、目には見えない外の情景を音だけでとらえていることがわかり、静けさの中の冬の気配が鮮やかに伝わる。
藤原清輔の『袋草紙』には、能因が藤原長能に歌の詠み方を尋ねた際、長能がこの歌を手本として示したという話が伝わり、当時から高く評価された一首である。
初句「山深み」 形容詞「深し」の語幹に接尾語「み」が付き、山が深いので、と原因を表す。
二句「落ちて積もれる」 「る」は存続の助動詞「り」の連体形。落ちて積もっている、の意。本巻の第百五十六首「雪ぞ積もれる」、第百五十九首「年の積もる」へと、「積もる」の語が巻の後半に受け継がれる。
三句「紅葉葉の」 落葉となった紅葉。前歌で散り果てた紅葉葉が、ここでは地に積もった姿で詠まれる。
四句「乾ける上に」 「る」は存続。乾いている葉の上に、の意で、雨粒が乾いた葉を打つ音を思わせる。
結句「時雨降るなり」 「なり」は音によって判断する推定の助動詞。本巻の第百五十首も同じ「時雨降るなり」で結び、こちらは音で、そちらは月の曇りで時雨を知るという対をなす。
もみぢば:紅葉した木の葉
- 作者
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大江嘉言
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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色々に染むる時雨に紅葉葉は 争ひかねて散りはてにけり
- 次の歌
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今さらに己がすみかを立たじとて 木の葉の下にをしぞ鳴くなる