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風吹けばならの裏葉のそよそよと
言ひ合はせつついづち散るらむ

歌の意味
風が吹くと、楢の葉の裏葉がそよそよと音を立て、「そうよ、そうよ」と言い合わせながら、いったいどこへ散ってゆくのだろう。
鑑賞
巻第四 冬歌 146

詞書「落葉有声といふ事をよめる」
 「落葉有声」は落葉に声があるという題。風に鳴る楢の葉音「そよそよ」を、「そうよ、そうよ」と相談し合う声に聞きなし、葉たちがどこへ散ろうと申し合わせているのかと興じた歌である。作者は惟宗隆頼とされる。
 正保版本などでは二句を「ならの枯葉の」とする。

 初句「風吹けば」 已然形に「ば」で、風が吹くと、の意。
 二句「ならの裏葉の」 楢の葉の裏。風に翻る葉裏を言う。本巻の第百五十首「ならの木陰」と楢の木が重なる。
 三句「そよそよと」 葉ずれの音を表す語に、「そよ(そうだ)」という応答の言葉を掛けた掛詞で、ここから擬人化が始まる。
 四句「言ひ合はせつつ」 「つつ」は反復継続。互いに言い交わしながら、の意で、葉を人に見立てる。
 結句「いづち散るらむ」 「いづち」はどちらへ、「らむ」は現在推量。散りゆく先を思いやる。

そよそよ:葉が風に鳴る音と、「そうだ」と応じる「そよ」とを掛ける
いひあはす:互いに言葉を交わして申し合わせる
出典
詞花和歌集
前の歌
今さらに己がすみかを立たじとて 木の葉の下にをしぞ鳴くなる
次の歌
外山なるしばの立ち枝に吹く風の 音聞く折ぞ冬はもの憂き