庵さすならの木陰に漏る月の
曇ると見れば時雨降るなり
- 歌の意味
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庵を結んだ楢の木陰に漏れてくる月の光が、曇ったと見ると、時雨が降っているのだ。
- 鑑賞
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巻第四 冬歌 150
詞書「旅宿時雨といふ事をよめる」
「旅宿時雨」は旅の宿りで時雨にあうという題。旅の途中で楢の木陰に仮の庵を結び、葉の間から漏れる月を眺めていると、その光がふと曇り、時雨が降り出したのだと知る。月の光の変化で時雨を感じ取る、細やかな歌である。
初句「庵さす」 「さす」は庵を作り構える意で、旅の仮の宿りを示す。
二句「ならの木陰に」 楢の木の陰に。本巻の第百四十六首の楢の葉、第百四十八首の「木の下陰」と景物が重なり、冬もなお葉を残す楢の陰から月が漏れる。
三句「漏る月の」 葉の隙間から漏れてくる月の光。
四句「曇ると見れば」 月の光が曇ったのを見ると、の意。時雨の到来を目で捉える。
結句「時雨降るなり」 「なり」は推定。本巻の第百四十四首と同じ結句で、そちらは落葉に当たる音で、こちらは月の曇りで時雨を知るという対をなす。
いほりさす:仮の小屋を作って宿る
もる:隙間から光などがこぼれる
- 出典
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詞花和歌集
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もろともに山めぐりする時雨かな ふるにかひなき身とは知らずや
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み山には嵐やいたく吹きぬらむ 網代もたわに紅葉積もれり