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あられ降る交野の御野の狩衣
ぬれぬ宿貸す人しなければ

歌の意味
霰が降る交野の御料地での狩衣は、濡れてしまった。濡れずにすむ宿を貸してくれる人もいないので。
鑑賞
巻第四 冬歌 152

詞書「鷹狩をよめる」
 皇室の狩場であった交野で鷹狩をしているうちに霰に降られ、雨宿りの宿もなく狩衣が濡れてしまうという歌である。「ぬれぬ」が上からは完了、下へは打消として働く技巧が当時から注目され、『俊頼髄脳』や『古来風躰抄』などにも引かれている。
 本巻の冬の降り物は、時雨から霰へ、さらに次歌以降の雪へと移っていく。

 初句「あられ降る」 霰の降る中で、と状況を示す。
 二句「交野の御野の」 交野は河内国の地名で、皇室の狩場として知られた歌枕。「御野」は御料の野である。
 三句「狩衣」 狩りの際に着る衣。四句の「ぬれぬ」がこれを受ける。
 四句「ぬれぬ宿貸す」 「ぬれぬ」の「ぬ」は、上の狩衣を受けては完了の「濡れてしまった」、下の宿へは打消の「濡れない」として働く。一語を二通りに読ませる技巧で、平仮名で示した。
 結句「人しなければ」 「し」は強意の副助詞。貸してくれる人がいないので、と理由を示し、倒置の形で上の「ぬれぬ」に戻る。

みの:皇室の領有する野。御料の野
かりごろも:狩りのときに着る衣
ぬれぬ:「濡れてしまった」の意と「濡れない」の意とを掛ける
作者
藤原長能
出典
詞花和歌集
前の歌
み山には嵐やいたく吹きぬらむ 網代もたわに紅葉積もれり
次の歌
山深み焼く炭がまの煙こそ やがて雪げの雲となりけれ