年を経て吉野の山に見なれたる
目に珍しき今朝の初雪
- 歌の意味
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長年、吉野の山の雪を見なれてきた目にも、珍しく思われる今朝の初雪であることよ。
- 鑑賞
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巻第四 冬歌 154
詞書「大和守にて侍りける時、入道前太政大臣の許にて、初雪を見てよめる」
詞書によれば、作者が大和守であった時、出家した前の太政大臣の邸で初雪を見て詠んだ歌である。任国大和で雪深い吉野の山を見なれてきた身にも、この邸で迎える今朝の初雪は格別に新鮮だと詠み、邸の主への挨拶の心もこめている。
正保版本では結句を「けさの白雪」とする。
初句「年を経て」 長い年月を経て。大和守として過ごした年月を指す。
二句「吉野の山に」 吉野は大和国の歌枕で、古くから雪深い山とされた。巻第一の第二十二首では花の名所として詠まれ、ここでは雪の山として現れる。
三句「見なれたる」 「たる」は存続。見なれている、の意で、四句の「目」にかかる。
四句「目に珍しき」 見なれた目にもなお珍しい、と逆説的に新鮮さを強める。
結句「今朝の初雪」 体言止め。本巻で初めて雪そのものが詠まれ、前歌の雪雲を受けて雪の歌群が始まる。
みなる:見て慣れ親しむ
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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山深み焼く炭がまの煙こそ やがて雪げの雲となりけれ
- 次の歌
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日暮らしに山路の昨日時雨しは 富士の高嶺の雪にぞありける