待つ人の今も来たらばいかがせむ
踏ままく惜しき庭の雪かな
- 歌の意味
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待っている人が今にもやって来たら、どうしよう。踏まれてしまうのが惜しい、この庭の雪であることよ。
- 鑑賞
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巻第四 冬歌 158
詞書「題しらず」
恋人の訪れを待ちながらも、その人が来れば美しく積もった庭の雪に足跡がついてしまうと迷う、矛盾した心を詠んだ歌である。待つ心と雪を惜しむ心とが揺れ合うところに、和泉式部らしい率直さがある。
『金葉和歌集』にも見える歌である。
初句「待つ人の」 自分が待っている人の。冬の景に恋の気配を持ち込む。
二句「今も来たらば」 「たら」は完了「たり」の未然形、「ば」で仮定。今にも来たならば、の意。
三句「いかがせむ」 どうしようか、と迷いを示し、三句切れとなる。
四句「踏ままく惜しき」 「まく」は推量「む」のク語法で、踏まれるであろうことが惜しい、の意。本巻の第百四十二首が散り敷いた紅葉を払わずに見るのと同じく、庭を覆うものを損ないたくない心である。
結句「庭の雪かな」 「かな」は詠嘆。体言に詠嘆を添えて結ぶ。
まつひと:訪れを待っている恋人
- 作者
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和泉式部
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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紅に見えし梢も雪降れば 白木綿かくる神奈備の森
- 次の歌
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数ならぬ身にさへ年の積もるかな 老いは人をも嫌はざりけり