数ならぬ身にさへ年の積もるかな
老いは人をも嫌はざりけり
- 歌の意味
-
人の数にも入らないような私の身にまで、年は積もることだなあ。老いというものは、人を嫌って避けることはしないのだった。
- 鑑賞
-
巻第四 冬歌 159
詞書「歳暮の心をよめる」
年の暮れに、取るに足りない我が身にも分け隔てなく年齢が加わることを嘆く歌である。老いが人を選ばないという、皮肉と諦めのまじった観察に、歳暮の感慨がこめられている。
ここから巻末までの二首が歳暮の歌となる。
初句「数ならぬ」 物の数にも入らない、取るに足りない、の意。謙遜と自嘲を込める。
二句「身にさへ年の」 「さへ」は添加の副助詞で、そんな身にまでも、の意。
三句「積もるかな」 年齢が重なることを「積もる」と言い、三句切れとなる。本巻の第百五十六首で雪が積もったのを受け、ここでは年が積もる。
四句「老いは人をも」 老いを擬人化し、人を選り好みする主体として扱う。
結句「嫌はざりけり」 「ざり」は打消、「けり」は気づきの詠嘆。老いは誰も嫌わないのだったと気づく。
きらふ:嫌って避ける
- 出典
-
詞花和歌集
- 前の歌
-
待つ人の今も来たらばいかがせむ 踏ままく惜しき庭の雪かな
- 次の歌
-
魂祭る年の終はりになりにけり 今日にやまたも会はむとすらむ