君が代にあふくま川の底清み
千歳を経つつすまむとぞ思ふ
- 歌の意味
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わが君の御代にめぐり逢うという名の阿武隈川は、川底まで清らかなので、千年を経ながらもその流れのように澄みつづけ、この御代に住みつづけようと思う。
- 鑑賞
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巻第五 賀歌 161
本歌は詞花和歌集巻第五「賀」の巻頭に置かれた藤原道長の歌である。君の御代にめぐり逢えた喜びを、陸奥の歌枕である阿武隈川の清らかな流れに託し、その御代に千年も住みつづけたいという祝意を詠んでいる。
川の名に「逢ふ」を、結びの「すまむ」に「住む」と「澄む」を重ね、水の清らかさと治世の清明さを一つに結ぶ技巧が一首の要である。摂関政治の頂点に立った道長が帝の御代を言祝ぐ歌であり、賀の巻を開くにふさわしい格調を備えている。
初句「君が代に」は、祝う対象である帝の治世を示す。本巻では第百六十四首「君が代は」、第百七十首「君が代の」も同じ語で始まり、賀の巻を貫く主題の語となっている。
二句「あふくま川の」は、御代に「逢ふ」意と陸奥の歌枕「阿武隈川」を掛けた掛詞である。めぐり逢う喜びが、そのまま川の名に重ねられている。
三句「底清み」は、形容詞「清し」の語幹に接尾語「み」が付いた形で、「底が清いので」と理由を表す。水底を詠む点は、本巻の第百六十九首「底に宿れる」と呼応する。
四句「千歳を経つつ」は、接続助詞「つつ」で長い年月の継続を表し、賀歌の定型である千年の齢を示す。第百六十九首の結句「松の千歳は」とも同じ語を共有する。
結句「すまむとぞ思ふ」は、「住む」と「澄む」を掛けた掛詞に意志の助動詞「む」が添う。係助詞「ぞ」を受けて「思ふ」と連体形で結ぶ係り結びである。巻末の第百七十一首が「住吉の」と始まるのと、「すむ」の響きで巻頭と巻末が呼応している。
あふくまがは:御代に「逢ふ」意と陸奥国の歌枕阿武隈川を掛ける。阿武隈川は現在の福島県から宮城県へ流れる川
すむ:御代に「住む」意と、川の水が「澄む」意を掛ける
- 作者
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藤原道長
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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魂祭る年の終はりになりにけり 今日にやまたも会はむとすらむ
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めづらしく今日たちそむる鶴の子は 千代のむつきを重ぬべきかな