めづらしく今日たちそむる鶴の子は
千代のむつきを重ぬべきかな
- 歌の意味
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めでたくも、今日はじめて産着を裁ち、立ちはじめたばかりの鶴の雛のようなこの子は、千代にわたって産着を幾重にも重ねてゆくにちがいない。
- 鑑賞
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巻第五 賀歌 162
生まれたばかりの子を鶴の雛に見立て、初めて産着を裁つ祝いの日に、その子が千年の齢を重ねることを予祝した歌である。伊勢大輔は一条天皇の中宮彰子に仕えた女房で、宮中や貴顕の家での出産の祝いの場にふさわしい一首と見られる。
千年の長寿をもつとされる鶴を子に重ね、産着を「裁つ」ことと雛が「立つ」ことを一語に掛けた機知が、明るく華やいだ祝意を生んでいる。
初句「めづらしく」は、目新しく素晴らしいという賛美の語で、誕生の喜びを冒頭から示す。
二句「今日たちそむる」は、産着を「裁ち」はじめる意と、鶴の雛が「立ち」はじめる意を掛けた掛詞である。「そむ」は「〜しはじめる」の意を添える。
三句「鶴の子は」は、千年の齢をもつとされる鶴の雛に生まれた子をたとえる。本巻の第百六十七首「葦鶴の」と、雛と成鳥の鶴が対をなしている。
四句「千代のむつきを」は、産着を千代にわたって用いるという誇張で、長寿を言祝ぐ。「千代」の語は第百六十三首、第百六十七首、第百六十八首にも繰り返され、本巻の基調をなしている。
結句「重ぬべきかな」は、当然の推量を表す助動詞「べし」に詠嘆の終助詞「かな」が付いた形である。産着を重ねることに、年齢を重ねる意が重ねられている。
たつ:衣を裁つ意と、鶴の雛が立ちはじめる意を掛ける
むつき:生まれた子をくるむ産着、おむつ
かさぬ:重ねる、ここでは年を重ねる意を響かせる
- 作者
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伊勢大輔
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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君が代にあふくま川の底清み 千歳を経つつすまむとぞ思ふ
- 次の歌
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過ぎ来にしほどをば捨てつ今年より 千代の数積む住吉の松