過ぎ来にしほどをば捨てつ今年より
千代の数積む住吉の松
- 歌の意味
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これまで過ごしてきた年月は数えずに捨ててしまった。今年から改めて千代の年数を積み重ねてゆく住吉の松であることよ。
- 鑑賞
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巻第五 賀歌 163
長寿の象徴である住吉の松が、これまでの年月をすべて捨て、今年から新たに千代を数えはじめるという趣向の歌である。祝う相手の齢が、これからさらに千年積み重なってゆくことを言祝いでいる。
過去を「捨てつ」と言い切る大胆さが新鮮で、算賀など人生の節目の祝いにふさわしい、仕切り直しの晴れやかさがある。
初句「過ぎ来にし」は、完了の助動詞「ぬ」の連用形と過去の助動詞「き」の連体形を重ね、すでに過ぎ去った年月を示す。
二句「ほどをば捨てつ」は、格助詞「を」に係助詞「は」が付いて濁った「をば」で対象を強め、完了の助動詞「つ」で言い切る。ここで二句切れとなる。
三句「今年より」は、格助詞「より」で起点を示し、過去と未来を今年で区切る。
四句「千代の数積む」は、千年の年数を積み重ねる意である。「千代」の語は前歌第百六十二首「千代のむつき」を受けている。
結句「住吉の松」は体言止めで、祝いの象徴を最後に据える。本巻の第百七十首も同じ「住吉の松」で結ばれ、次々歌に続く第百七十一首も住吉と松を詠んで巻を閉じている。
すみよし:摂津国の歌枕、現在の大阪市住吉区のあたり。住吉大社があり、松の名所として知られる
つむ:積み重ねる
- 作者
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大中臣能宣
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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めづらしく今日たちそむる鶴の子は 千代のむつきを重ぬべきかな
- 次の歌
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君が代は白雲かかる筑波嶺の 峰の続きの海となるまで