松島の磯に群れゐる葦鶴の
おのがさまざま見えし千代かな
- 歌の意味
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松島の磯に群れ集まっている葦辺の鶴が、それぞれに思い思いの姿で見せていた千代の齢であることよ。
- 鑑賞
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巻第五 賀歌 167
陸奥の歌枕松島の磯に群れる鶴を描き、一羽一羽がそれぞれの姿で千年の齢を示しているとして、長寿を言祝いだ歌である。
名に「松」を含む松島と、千年の鳥とされる鶴という二重の長寿の象徴を重ね、群れの多さがそのまま千代の豊かさとなる構図が鮮やかである。絵画的な景の中に祝意を込めた一首である。
初句「松島の」は、陸奥国の歌枕で、その名に長寿の象徴「松」を含む。巻頭の第百六十一首の阿武隈川と同じく陸奥の地名であり、遠い名所が祝いの景として選ばれている。
二句「磯に群れゐる」は、鶴が磯辺に群れ集まって留まっている様子を描く。
三句「葦鶴の」は、葦辺にいる鶴を表す歌語である。本巻の第百六十二首「鶴の子は」の雛に対し、ここでは群れなす成鳥の鶴が詠まれている。
四句「おのがさまざま」は、鶴がそれぞれ思い思いの姿をしていることをいう。
結句「見えし千代かな」は、過去の助動詞「き」の連体形「し」で「千代」を修飾し、詠嘆の終助詞「かな」で結ぶ。「千代」は第百六十二首、第百六十三首、第百六十八首と共有され、本巻の主題を担う語である。
まつしま:陸奥国の歌枕、現在の宮城県の松島
あしたづ:葦辺にいる鶴、鶴を表す歌語
むれゐる:群れ集まってそこに留まる
- 作者
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清原元輔
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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飽かでのみ帰ると思へば桜花 折るべき春ぞ尽きせざりける
- 次の歌
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ひととせを暮れぬとなにか惜しむべき 尽きせぬ千代の春を待つには