君が代の久しかるべきためしにや
神も植ゑけむ住吉の松
- 歌の意味
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わが君の御代が久しく続くはずであることの手本として、神もお植えになったのだろうか、この住吉の松は。
- 鑑賞
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巻第五 賀歌 170
住吉の松を、御代の永続を示すために神みずからが植えた手本と見立て、治世の長久を言祝いだ歌である。
住吉の神と岸の松の長寿は、帝の行幸に住吉の大御神が姿を現す『伊勢物語』第百十七段などにも語られ、古くから祝福の取り合わせとして親しまれてきた。その伝統を踏まえ、松の古さを神意にまで高めたところに賀歌としての重みがある。
初句「君が代の」は、巻頭の第百六十一首「君が代に」、第百六十四首「君が代は」と同じ語で始まり、助詞を変えながら御代を祝う歌が本巻に繰り返されている。
二句「久しかるべき」は、形容詞「久し」に当然の助動詞「べし」が付き、久しく続くはずであることを示す。
三句「ためしにや」は、係助詞「や」による疑問で、松が御代の長さの手本ではないかと推し量る。
四句「神も植ゑけむ」は、過去推量の助動詞「けむ」の連体形で、係助詞「や」の結びとなる係り結びである。神を詠む点で第百六十五首「神の代よりも」を受け、次歌の第百七十一首「現人神」へと続いてゆく。
結句「住吉の松」は体言止めで、第百六十三首と全く同じ結句である。巻の中ほどと終わりに同じ句を置き、次歌とともに住吉の松で賀の巻を締めくくっている。
ためし:先例、手本
うう:植える
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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誰にとか池の心も思ふらむ 底に宿れる松の千歳は
- 次の歌
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住吉の現人神の久しさに 松もいくたび生ひかはるらむ