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六年にぞ君は来まさむ住吉の
まつべき身こそいたく老いぬれ

歌の意味
六年たって、ようやくあなたはお帰りになるのだろう。住吉の松のように、あなたを待ち続けるはずの私の身は、ひどく年老いてしまったことだ。
鑑賞
巻第六 別歌 177

 遠方へ旅立つ人に贈った歌で、帰りまで六年もかかるであろう別れを嘆いている。住吉神社の神主であった作者が、住吉の松に自らを重ね、待ち続けるべき身がすでにひどく老いていることを訴えて、再会への不安をにじませている。

 初句「六年にぞ」の「ぞ」は係助詞で、二句の「来まさむ」と係り結びをなす。帰りまでの長い年月を具体的な数で示している。
 二句「君は来まさむ」の「来ます」は「来」の尊敬語、「む」は推量で、「ぞ」の結びの連体形となる。ここで二句切れとなる。
 三句「住吉の」は、作者が神主を務めた住吉神社のある地で、松の名所でもある。次句の「まつ」を導いている。
 四句「まつべき身こそ」の「まつ」は、住吉の「松」と「待つ」とを掛ける掛詞である。本巻の第百七十五首にも「待つべき身こそ」とあり、ともに帰りを待つ老いた身を詠む。また第百八十五首の「いきのまつ」も松と待つを掛けており、松に託した待つ心が巻中で響き合っている。
 結句「いたく老いぬれ」の「ぬれ」は完了「ぬ」の已然形で、四句の「こそ」の結びとなる。第百七十五首の「老いにけれ」に「いたく」を加えた形で、待つ身の衰えをいっそう際立たせている。

まつ:住吉の松の意と、帰りを待つ意を掛ける
きます:「来」の尊敬語。おいでになる
作者
津守国基
出典
詞花和歌集
前の歌
帰り来む程をも知らず悲しきは よをながつきの別れなりけり
次の歌
あかねさす日に向ひても思ひ出でよ 都ははれぬながめすらむと