別れ路の草葉を分けむ旅衣
たつよりかねて濡るる袖かな
- 歌の意味
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別れて行く道の草葉をかき分けて進むであろう旅衣は、旅立つ前から、仕立てたそのときからもう、涙に濡れている袖であることよ。
- 鑑賞
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巻第六 別歌 179
旅立つ人の旅衣に寄せて別れを惜しむ歌である。旅路では草葉の露に濡れるはずの袖が、旅立つ前からすでに別れの涙で濡れていると詠み、露と涙を重ねる趣向で惜別の深さを表している。
初句「別れ路の」は、別れて旅立つ道の意。
二句「草葉を分けむ」の「む」は推量で、これから草葉をかき分けて進むであろう旅を思い描く。草葉の露を連想させる表現である。
三句「旅衣」は旅に着る衣で、結句の「袖」と縁語をなす。
四句「たつよりかねて」の「たつ」は、旅に「立つ」意と衣を「裁つ」意とを掛ける掛詞で、「旅衣」の縁語となる。「かねて」は前もっての意。本巻の第百七十三首の「たたましものを」も同じく立つと裁つを掛けており、衣にちなむ別れの歌が巻中で響き合っている。
結句「濡るる袖かな」は、草葉の露に濡れるはずの袖が、すでに涙で濡れていることを詠嘆して結ぶ。
たつ:旅に出立する意と、衣を裁つ意を掛ける
わかれぢ:別れて旅立つ道
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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あかねさす日に向ひても思ひ出でよ 都ははれぬながめすらむと
- 次の歌
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また来むと誰にもえこそ言ひおかね 心にかなふ命ならねば