また来むと誰にもえこそ言ひおかね
心にかなふ命ならねば
- 歌の意味
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また来ようとは、誰にも言い残しておくことができない。命というものは、自分の思いどおりになるものではないのだから。
- 鑑賞
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巻第六 別歌 180
旅立つ側の立場から、再会の約束ができない心を詠んだ歌である。命は思いどおりにならないものであるから、必ず帰るとは誰にも言えないと述べ、別れのたびに生の不確かさを思う無常の心をにじませている。
初句「また来むと」の「む」は意志で、再び帰って来ようという約束の言葉を示す。
二句「誰にもえこそ」の「え」は打消と呼応して不可能を表し、「こそ」は係助詞で、三句の「おかね」と係り結びをなす。
三句「言ひおかね」の「ね」は打消「ず」の已然形で、「言い残しておくことができない」の意となる。ここで三句切れとなる。
四句「心にかなふ」は、思いどおりになるの意。
結句「命ならねば」は「〜ではないので」の意で、言えない理由を倒置して示す。次歌の第百八十一首も「住処ならねば」と同じ形で結ばれ、命や住処の定めなさを理由とする二首が並べられている。
いひおく:言い残しておく
かなふ:思いどおりになる
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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別れ路の草葉を分けむ旅衣 たつよりかねて濡るる袖かな
- 次の歌
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とどまらむとどまらじとも思ほえず いづくも終の住処ならねば