暮ればまづそなたをのみぞ眺むべき
出でむ日ごとに思ひおこせよ
- 歌の意味
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日が暮れたら、まず何よりもあなたのいる方角ばかりを眺めることにしよう。あなたも日が昇るたびに、私のことを思いやってほしい。
- 鑑賞
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巻第六 別歌 183
遠く離れる人と、日の入りと日の出を合図に思いを通わせようと約束する歌である。夕暮れには自分が相手の方角を眺め、朝日が昇るごとに相手がこちらを思うよう求めており、一日の時の移りに託して、離れていても心を通わせたいという願いを表している。
初句「暮れば」は、「暮る」の未然形に「ば」が付いた仮定で、日が暮れたならの意。結句の「出でむ日」と対になる。
二句「まづそなたをのみぞ」の「そなた」は、あなたのいる方角。「ぞ」は係助詞で、三句の連体形「べき」と係り結びをなす。
三句「眺むべき」の「眺む」は物思いにふけりつつ見やる意で、「べき」は意志を含む。ここで三句切れとなる。
四句「出でむ日ごとに」は、日が昇るたびにの意。本巻の第百七十八首の「あかねさす日に向ひても」と同じく、日の光に向かうたびに残る者を思えと求める趣向で、二首が呼応している。
結句「思ひおこせよ」の「思ひおこす」は、遠くからこちらへ思いを寄せる意で、命令形により相手に願いかけている。
ながむ:物思いにふけりながら見やる
おもひおこす:遠くからこちらのことを思いやる
そなた:相手のいる方角
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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二つなき心を君にとどめおきて 我さへ我に別れぬるかな
- 次の歌
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東路のはるけき道を行きめぐり いつかとくべき下紐の関