立ち別れはるかにいきのまつなれば
恋しかるべき千代のかげかな
- 歌の意味
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別れて遥か遠く生の松原へと行き、私はその帰りを待つ身となるのだから、千年も続く松の木陰のようなあなたの姿が、さぞ恋しく思われることだろう。
- 鑑賞
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巻第六 別歌 185
筑前の歌枕「生の松原」の方面へ旅立つ人を送った歌と見られる。地名の「いき」に「行き」を、「まつ」に「待つ」を掛け、遠くへ行く人の帰りを待つ思いを詠み込みつつ、千年の齢を保つという松にちなんで、相手の長寿を祝う心を添えている。
初句「立ち別れ」は、別れて旅立つの意。
二句「はるかにいきの」の「いき」は、「行き」と、筑前国の歌枕「生の松原」の「生」とを掛ける掛詞である。
三句「まつなれば」の「まつ」は、「松」と「待つ」とを掛ける掛詞である。本巻の第百七十七首の「住吉のまつ」も同じく松と待つを掛けており、名高い松に待つ心を託す歌が巻中で呼応している。
四句「恋しかるべき」の「べき」は推量で、これから恋しく思われるであろうの意。
結句「千代のかげかな」の「千代」は松の長寿にちなむ語で、「かげ」は松の木陰とともに相手の姿を思わせる。次歌の第百八十六首が人の命のはかなさを詠むのと、ここでの千代の齢とが対照をなしている。
いき:「行き」の意と、筑前国の歌枕「生の松原」の「生」を掛ける
まつ:「松」の意と「待つ」の意を掛ける
かげ:木陰。また人の姿や面影
- 作者
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永縁
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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東路のはるけき道を行きめぐり いつかとくべき下紐の関
- 次の歌
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はかなくも今朝の別れの惜しきかな いつかは人をながらへて見し