はかなくも今朝の別れの惜しきかな
いつかは人をながらへて見し
- 歌の意味
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我ながらはかないことに、今朝の別れが惜しくてならない。いったいいつ、人がいつまでも生きながらえるのを見たことがあっただろうか。
- 鑑賞
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巻第六 別歌 186
今朝の別れを惜しむ心を、人の命のはかなさに結びつけて詠んだ歌である。人が長く生き続けるのを見たためしなどなく、この別れが最後になるかもしれないと思えば、ひとときの別れさえ惜しまれると述べ、無常の思いによって別れの悲しみを深めている。
別歌の巻末に置かれ、都に残る者の心もとなさから始まった巻を、人の世のはかなさで閉じている。
初句「はかなくも」の「はかなし」は、頼りなくむなしいの意。本巻の巻頭の第百七十二首の「おぼつかなさを」と呼応し、別歌の巻は心もとなさで始まり、はかなさで閉じられている。
二句「今朝の別れの」は朝の別れを示し、別れの時を今に限っている。
三句「惜しきかな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、ここで三句切れとなる。
四句「いつかは人を」の「いつかは」は反語で、「いつ…したことがあろうか、いやない」の意を導く。
結句「ながらへて見し」の「ながらふ」は生き長らえる意。「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、四句の「か」の結びとなる。前歌の第百八十五首の「千代」の祝意と対照をなし、人がいつまでも生き続けるのを見たためしはないと述べて一首を結ぶ。
ながらふ:生き長らえる
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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立ち別れはるかにいきのまつなれば 恋しかるべき千代のかげかな
- 次の歌
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あやしくもわがみやまきの燃ゆるかな おもひは人に付けてしものを