いかでかはおもひありとも知らすべき
室の八島の煙ならでは
- 歌の意味
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どうして胸の思いがあるとあなたに知らせることができようか。室の八島に立つ煙のように、ひそかに立ちのぼる煙でもなければ。
- 鑑賞
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巻第七 恋歌上 188
詞書「題しらず」
秘めた恋心を、歌枕である室の八島の煙にことよせて詠んだ一首である。言葉では打ち明けられない思いも、燃える火から立つ煙のように外に表れでもしなければ相手に伝わらないという、もどかしさを表している。
藤原定家の秀歌撰『定家八代抄』に採られ、さらに八代集から各十首を選んだ『八代集秀逸』にも選ばれた、詞花集を代表する恋歌の一つである。
初句「いかでかは」は、反語の副詞で、どうして知らせることができようか、いやできないという意を導く。
二句「おもひありとも」は、「思ひ」の「ひ」に「火」を掛け、結句の「煙」と縁語をなす。前歌の第百八十七首の「おもひ」の火を受け、思いの火が燃えていても相手には見えないという方向へ展開している。
三句「知らすべき」は、初句の「いかでかは」を受けて反語を結ぶ。次歌の第百八十九首は「知られぬ身」と受け、知らせる側と知られぬまま終わる側とが並べられている。
四句「室の八島の」は、下野国(今の栃木県)の歌枕で、水蒸気が煙のように立ちのぼるとされ、煙を詠むのが習いであった。
結句「煙ならでは」は、煙でなければという限定で、思いが外に表れる手段は煙のほかにないと結んでいる。
おもひ:恋の思いと、燃える火を掛ける
むろのやしま:下野国にあった歌枕。煙が立つ所として詠まれた
- 作者
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藤原実方
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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あやしくもわがみやまきの燃ゆるかな おもひは人に付けてしものを
- 次の歌
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かくとだに言はではかなく恋ひ死なば やがて知られぬ身とやなりなむ