かくとだに言はではかなく恋ひ死なば
やがて知られぬ身とやなりなむ
- 歌の意味
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こうして恋しく思っているとさえ言わずに、はかなく恋い死にしてしまったら、そのまま誰にも知られない身となってしまうのだろうか。
- 鑑賞
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巻第七 恋歌上 189
思いを打ち明けることもできないまま恋に死んでしまえば、その恋はついに相手に知られることもなく終わるのかと嘆く一首である。忍ぶ恋の行き着く先を思いやる、切実な不安がこめられている。
初句「かくとだに」は、こうだとさえという意で、思いの一端すら口にできない忍ぶ恋の状態を示す。
二句「言はではかなく」は、言わないままむなしくという意で、打ち消しの接続助詞「で」が告白しないことを強調する。
三句「恋ひ死なば」は、仮定の「ば」で、恋のために死んだならばという想定を置く。恋い死にの主題は、本巻の第百九十七首、第二百二十一首にも見える。
四句「やがて知られぬ」は、そのまま知られないという意で、前歌の第百八十八首の「知らすべき」と対をなし、知らせる手立てを探る歌のあとに、知られぬまま終わる身を置いている。
結句「身とやなりなむ」は、係助詞「や」と推量の「む」の連体形による係り結びで、そうなってしまうのだろうかという不安な問いかけで結ぶ。
こひしぬ:恋の苦しさのために死ぬ
- 出典
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詞花和歌集
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いかでかはおもひありとも知らすべき 室の八島の煙ならでは
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思ひかね今日立てそむる錦木の 千束も待たで逢ふよしもがな