七夕に今朝引く糸の露をおもみ
たわむけしきを見でや止みなむ
- 歌の意味
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七夕に手向けて今朝張った糸が、露の重さでたわむように、あの人がなびく様子を見ないままで終わってしまうのだろうか。
- 鑑賞
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巻第七 恋歌上 208
七夕の朝、織女星に供えて張った糸が露の重みでたわむ様子にことよせ、相手の心がなびく様子を見ないまま恋が終わってしまうのかと嘆く一首である。七夕の行事の景物を恋の思いに巧みに転じている。
初句「七夕に」は、七月七日の七夕の行事で、裁縫の上達を願って糸などを織女星に供えた風習を踏まえる。
二句「今朝引く糸の」は、今朝張り渡した糸をいい、三句の露とともに序の景をなす。
三句「露をおもみ」は、「を」と形容詞の語幹に「み」が付いた形で、露が重いのでという理由を表す。
四句「たわむけしきを」は、糸が露でたわむ様子と、相手の心がなびく様子とを重ねている。
結句「見でや止みなむ」は、係助詞「や」と推量の「む」の連体形による係り結びで、見ないまま終わるのだろうかと不安げに結ぶ。
たなばた:七月七日の七夕の行事。また織女星
たわむ:重みでしなう。転じて心がなびく
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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影見えぬ君は雨夜の月なれや 出でても人に知られざりけり
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身のほどを思ひ知りぬることのみや つれなき人の情けなるらむ