いたづらに千束朽ちにし錦木を
なほこりずまに思ひたつかな
- 歌の意味
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むなしく千本も朽ち果ててしまった錦木なのに、それでもなお懲りずに、また思い立って立てようとすることだ。
- 鑑賞
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巻第七 恋歌上 214
陸奥の錦木の風習を踏まえ、千本立てても受け入れられずに朽ちてしまった錦木を、なお懲りずにまた立てようとする自分を詠む一首である。報われない恋を諦めきれない執着の深さを、自嘲をこめて表している。
初句「いたづらに」は、むなしくという意で、思いが報われなかったことを示す。
二句「千束朽ちにし」は、完了の「ぬ」と過去の「き」で、千本の錦木がすっかり朽ちてしまったことを表す。本巻の第百九十首が千束を待たずに逢いたいと願う恋の始まりを詠んだのに対し、千束が朽ちた果てを詠み、同じ錦木で始まりと終わりを対にしている。
三句「錦木を」は、求婚の男が女の家の門に立てた彩色の木である。
四句「なほこりずまに」は、懲りもせずにという意で、なおも諦めない心を表す。
結句「思ひたつかな」は、決心する意の「思ひ立つ」と、錦木を立てる意とを掛け、詠嘆の「かな」で結ぶ。
にしきぎ:陸奥の風習で、求婚の男が女の家の門に立てた彩色の木
おもひたつ:決心する意と、錦木を立てる意を掛ける
- 出典
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胸は富士袖は清見が関なれや 煙も波も立たぬ日ぞなき
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