古典和歌stream

山桜つひに咲くべきものならば
人の心をつくさざらなむ

歌の意味
山桜がいずれは咲くはずのものならば、待つ人の心をこれほど尽くさせないでほしいものだ。
鑑賞
巻第七 恋歌上 215

 いつかは咲く山桜にたとえ、最後には受け入れてくれるのなら、これほど気をもませないでほしいと相手に願う一首である。咲くのを待ちわびる花への思いを、なかなかなびかない相手を待つ恋心に重ねている。

 初句「山桜」は、山に咲く桜で、なかなか咲かない相手を花にたとえている。
 二句「つひに咲くべき」は、当然の助動詞「べし」の連体形で、結局は咲くはずのという意を表す。
 三句「ものならば」は、仮定条件で、そうであるならばという前提を置く。
 四句「人の心を」は、待つ側の人の心をいう。
 結句「つくさざらなむ」は、他者への願望の終助詞「なむ」で、心を尽くさせないでほしいと結ぶ。

つくす:心をすり減らす。気をもむ
作者
道命
出典
詞花和歌集
前の歌
いたづらに千束朽ちにし錦木を なほこりずまに思ひたつかな
次の歌
霜おかぬ人の心はうつろひて 面変はりせぬ白菊の花