忍ぶれど涙ぞしるき紅に
もの思ふ袖は染むべかりけり
- 歌の意味
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恋を隠しても涙ではっきりと分かってしまう。もの思う袖は、いっそ紅に染めておくべきだったのだ。
- 鑑賞
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巻第七 恋歌上 219
どんなに恋心を隠しても涙ではっきり人に知られてしまうから、もの思う袖ははじめから紅に染めておくべきだったと詠む一首である。前歌と同じく紅の色で涙を隠そうとする発想に立っている。
初句「忍ぶれど」は、逆接の「ど」で、恋心を隠しているけれどもという意を表す。
二句「涙ぞしるき」は、係助詞「ぞ」と形容詞「しるし」の連体形による係り結びで、涙ではっきり分かると言い切る二句切れである。
三句「紅に」は、前歌の第二百十八首の「紅の濃染めの衣」を受け、衣を重ねる代わりに袖そのものを染めることを詠む。
四句「もの思ふ袖は」は、恋に悩んで涙に濡れる袖をいう。
結句「染むべかりけり」は、当然の「べし」と詠嘆の「けり」で、染めておくべきだったと今さら気づいて結ぶ。
しのぶ:人に知られないよう隠す
- 作者
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源道済
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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紅の濃染めの衣上に着む 恋の涙の色隠るやと
- 次の歌
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紅に涙の色もなりにけり 変はるは人の心のみかは