- 歌の意味
-
紅色に涙の色までも変わってしまった。変わるのは、あの人の心だけであろうか。いや、そうではない。
- 鑑賞
-
巻第七 恋歌上 220
相手の心が変わってしまった悲しみに、涙の色までも紅に変わったと詠む一首である。変わるのは人の心だけではないと、心変わりと涙の色の変化とを重ね合わせた機知のうちに、深い嘆きがこめられている。
初句「紅に」は、前歌の第二百十九首の三句と同じ句で、紅の涙の三首の結びとして、涙そのものが紅に変わったと詠む。
二句「涙の色も」は、係助詞「も」で、人の心だけでなく涙の色までもという意を表す。
三句「なりにけり」は、完了の「ぬ」と詠嘆の「けり」で、すっかり変わってしまったと気づく三句切れである。
四句「変はるは人の」は、心変わりした相手をいう。本巻の第二百十六首、第二百十七首の白菊の歌に続き、人の心の変化が主題となっている。
結句「心のみかは」は、反語の係助詞「かは」で、変わるのは人の心だけだろうか、いやそうではないと結ぶ。
くれなゐのなみだ:悲しみのあまり流す血の色の涙
- 出典
-
詞花和歌集
- 前の歌
-
忍ぶれど涙ぞしるき紅に もの思ふ袖は染むべかりけり
- 次の歌
-
恋ひ死なむ身こそ思へば惜しからね 憂きもつらきも人のとがかは