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恋ひ死なむ身こそ思へば惜しからね
憂きもつらきも人のとがかは

歌の意味
恋い死にするであろうこの身は、思えば惜しくもない。つらさも悲しさも、あの人の罪であろうか。いや、そうではない。
鑑賞
巻第七 恋歌上 221

 恋のために死ぬ身など惜しくはなく、恋のつらさも相手の罪ではないと詠む一首である。相手を責めずにすべてを自分で引き受けようとする、思いつめた心が表れている。

 初句「恋ひ死なむ」は、推量の「む」で、恋のために死ぬであろうという意を表す。
 二句「身こそ思へば」は、係助詞「こそ」で身を強く取り立てる。
 三句「惜しからね」は、「こそ」を受けて打ち消しの「ず」の已然形「ね」で結ぶ係り結びの三句切れである。本巻の第二百二十四首は「憂き身さへこそ惜しまるれ」と、同じ身を惜しまれるものとして詠み、対をなしている。
 四句「憂きもつらきも」は、恋のつらさと相手の冷たさとを並べている。
 結句「人のとがかは」は、反語の係助詞「かは」で、相手の罪だろうか、いやそうではないと結ぶ。本巻の第百九十八首の「憂き身のとが」とも響き合う。

こひしぬ:恋の苦しさのために死ぬ
とが:罪、過ち
出典
詞花和歌集
前の歌
紅に涙の色もなりにけり 変はるは人の心のみかは
次の歌
つらさをば君にならひて知りぬるを うれしきことを誰に問はまし