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氷して音はせねども山川の
下に流るるものと知らずや

歌の意味
氷が張って音はしないけれども、山の川は氷の下を流れているものだと知らないのか。わたしの思いも表には出さないが、心の底では絶えず流れているのだ。
鑑賞
巻第七 恋歌上 227

 氷に閉ざされて音を立てない山川も、氷の下では水が流れ続けていると詠み、表には出さない恋心が心の底で絶えず流れていることを相手に訴える一首である。冬の山川の景に、忍ぶ恋の内なる激しさをたとえている。

 初句「氷して」は、川が凍りついてという意で、表面が閉ざされたさまを示す。
 二句「音はせねども」は、打ち消しの「ず」の已然形に逆接の「ども」が付き、音は立てないけれどもという意を表す。「音」には噂の意も響いている。
 三句「山川の」は、山中を流れる川で、思いを内に秘めた自分をたとえる。本巻の第百九十一首の谷川の水音と対照的に、音を立てない水が詠まれている。
 四句「下に流るる」は、氷の下を流れる意と、心の奥で思いが続く意とを重ねている。
 結句「ものと知らずや」は、係助詞「や」による問いかけで、知らないのかと相手に訴えて結ぶ。

やまがは:山の中を流れる川
出典
詞花和歌集
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わが恋やふたみ変はれる玉櫛笥 いかにすれどもあふかたもなき
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