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播磨なる飾磨に染むるあながちに
人を恋しと思ふころかな

歌の意味
播磨国の飾磨で染める褐色の布、その「かち」という名のように、むやみに一途にあの人を恋しいと思うこのごろであることよ。
鑑賞
巻第七 恋歌上 230

 播磨国の飾磨で染められた紺色の「褐」の名を、ひたすらにという意の「あながち」に響かせた一首である。名産の染め物を序として、抑えようのない恋心の激しさを率直に表している。

 初句「播磨なる」は、播磨国にあるという意で、所在を表す「なる」によって地名を示す。初句から二句までは「あながちに」を導く序詞である。
 二句「飾磨に染むる」は、播磨国の飾磨で染める「褐」をいい、濃い紺色の染め物の名産地であった。
 三句「あながちに」は、むやみにひたすらにという意で、褐の「かち」の音を響かせて序詞から本旨へ転じている。
 四句「人を恋しと」は、相手を恋しく思う心をいう。
 結句「思ふころかな」は、詠嘆の「かな」で結ぶ。本巻の第二百十一首と同じ結句で、ともに自然の景や名産を序とし、恋の思いへ転じる型をとっている。

しかま:播磨国の地名。濃い紺色の褐染めで知られた
かち:濃い紺色の染め色
作者
曾禰好忠
出典
詞花和歌集
前の歌
瀬をはやみ岩にせかるる滝川の われても末に逢はむとぞ思ふ
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ほどもなく暮るると思ひし冬の日の 心もとなき折もありけり