夜を深み帰りし空もなかりしを
いづくより置く露に濡れけむ
- 歌の意味
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夜がまだ深かったので、帰る道の空も目に入らず、心も上の空であったのに、いったいどこから置いた露に、この袖は濡れたのだろうか。
- 鑑賞
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巻第八 恋歌下 235
夜の深いうちに恋人のもとから帰ってきた男が、濡れた袖を露のせいのようにいぶかしみつつ、それが別れの涙であることをほのめかす一首である。露の置く時刻でもなかったはずだと問いかける形に、後朝の別れのつらさがにじんでいる。
初句「夜を深み」は、「を」と形容詞の語幹に「み」が付いた形で、夜が深いのでという理由を表す。
二句「帰りし空も」は、過去の助動詞「き」の連体形で帰ってきた折をいい、「空」には空模様の意と、心持ちの意とが重なる。
三句「なかりしを」は、逆接の接続助詞「を」で、空も見えず心も上の空であったのにという意を表す。
四句「いづくより置く」は、どこから置いたのかと問い、露の置くはずもない夜深さを踏まえている。
結句「露に濡れけむ」は、過去推量の「けむ」で、どこで濡れたのだろうかといぶかしむ形をとり、袖の露が別れの涙であることをほのめかして結ぶ。次歌の第二百三十六首、その次の第二百三十七首も、恋人のもとから帰る後朝の歌である。
そら:空模様。また心持ち、気持ち
- 作者
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清原元輔
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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わが恋はあひそめてこそまさりけれ 飾磨のかちの色ならねども
- 次の歌
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心をばとどめてこそは帰りつれ あやしや何の暮れを待つらむ