我のみや思ひおこせむあぢきなく
人は行方も知らぬものゆゑ
- 歌の意味
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わたしだけが、あの人のほうへ思いを送り続けるのだろうか。つまらないことに、あの人はわたしの行方さえ知らないというのに。
- 鑑賞
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巻第八 恋歌下 240
自分ばかりが相手を思いやって心を寄せているのに、相手はこちらの行方さえ知らずにいると嘆く一首である。一方的に思いを送り続ける恋のむなしさを、「あぢきなく」の一語にこめている。
初句「我のみや」は、副助詞「のみ」で自分だけと限定し、係助詞「や」で疑問を示す。
二句「思ひおこせむ」は、遠くから思いを相手のほうへ寄せる意の「思ひおこす」に推量の「む」の連体形が付き、「や」を受けて結ぶ係り結びの二句切れである。
三句「あぢきなく」は、つまらなく、どうしようもなくという意で、一方的な思いのむなしさを表す。
四句「人は行方も」は、係助詞「は」で相手を取り立て、初句の「我」と対比させている。
結句「知らぬものゆゑ」は、逆接の「ものゆゑ」で、知らないのにと嘆いて結ぶ。
おもひおこす:遠く離れた相手のほうへ思いを寄せる
ゆくへ:行った先、居場所
- 作者
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和泉式部
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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住吉の浅沢小野の忘れ水 絶え絶えならで逢ふよしもがな
- 次の歌
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思ふことなくて過ぎつる世の中に つひに心をとどめつるかな