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もろともにおきゐる露のなかりせば
誰とか秋の夜を明かさまし

歌の意味
わたしとともに起きている、草葉に置いている露がなかったならば、いったい誰と一緒にこの秋の夜を明かしたらよいのだろうか。
鑑賞
巻第八 恋歌下 246

 訪れない恋人を待って眠れずに秋の夜を過ごす女が、草葉に置く露だけを夜明かしの友として詠む一首である。露が「置き居る」と自分が「起き居る」とを掛け、袖の涙も思わせる露を唯一の連れとする孤独を表している。

 初句「もろともに」は、一緒にという意で、露を自分の連れに見立てる。
 二句「おきゐる露の」は、露が「置き居る」意と、自分が眠らずに「起き居る」意とを掛けている。本巻の第二百六十一首の「おきゐれば」も同じ掛詞を用いている。
 三句「なかりせば」は、過去の「き」の未然形「せ」に「ば」が付いた反実仮想の仮定である。
 四句「誰とか秋の」は、係助詞「か」で疑問を示す。
 結句「夜を明かさまし」は、反実仮想の「まし」で、三句の「せば」と呼応し、「か」を受けて連体形で結ぶ係り結びで、誰と夜を明かそうかと嘆いて結ぶ。

おきゐる:露が置いている意と、眠らずに起きている意を掛ける
作者
赤染衛門
出典
詞花和歌集
前の歌
いづくをも夜離るることのわりなきに 二つに分くる我が身ともがな
次の歌
来たりとも寝る間もあらじ夏の夜の 有明の月も傾きにけり