夜を重ね霜とともにしおきゐれば
ありしばかりの夢だにも見ず
- 歌の意味
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幾夜も重ねて、霜が置くのとともに眠らずに起きているので、かつて逢ったときほどの夢さえも見ない。
- 鑑賞
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巻第八 恋歌下 261
幾夜も眠れずに霜とともに起き明かしているので、かつての逢瀬をしのぶ夢さえ見ることができないと嘆く一首である。現実に逢えないばかりか、夢の慰めさえ得られない恋の苦しさを表している。
初句「夜を重ね」は、幾夜も重ねてという意で、眠れない夜の続くことを示す。
二句「霜とともにし」は、強意の副助詞「し」で、霜とともにという意を強める。
三句「おきゐれば」は、霜が「置き居る」意と、自分が眠らずに「起き居る」意とを掛ける。本巻の第二百四十六首の「おきゐる露」と同じ掛詞で、露を連れとした秋の夜に対し、霜とともに起き明かす夜を詠んでいる。
四句「ありしばかりの」は、かつて逢ったときほどのという意を表す。
結句「夢だにも見ず」は、副助詞「だに」で、せめて夢さえも見ないと嘆いて結ぶ。巻第七の第百九十三首、第百九十四首が夢の逢瀬に慰めを見いだしたのに対し、ここでは眠れないためにその夢さえ失われている。
おきゐる:霜が置いている意と、眠らずに起きている意を掛ける
- 出典
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鶯は花の都も旅なれば 谷の古巣を忘れやはする
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逢ふことも我が心よりありしかば 恋は死ぬとも人は恨みじ