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逢ふことも我が心よりありしかば
恋は死ぬとも人は恨みじ

歌の意味
逢うことも自分の心から始まったことなのだから、たとえ恋に死ぬことになっても、あの人を恨むまい。
鑑賞
巻第八 恋歌下 262

 恋人と逢ったのも自分の心から望んだことであったのだから、たとえ恋の苦しさに死ぬとしても相手を恨むまいと詠む一首である。恋の責めを自ら引き受けようとする、潔い覚悟が表れている。

 初句「逢ふことも」は、係助詞「も」で、逢うこともまたという意を表す。
 二句「我が心より」は、格助詞「より」で起点を示し、自分の心から始まったことをいう。
 三句「ありしかば」は、過去の「き」の已然形に「ば」が付いた確定条件で、そうであったのだからという理由を示す。
 四句「恋は死ぬとも」は、逆接仮定の「とも」で、恋のために死ぬとしてもという意を表す。
 結句「人は恨みじ」は、打ち消し意志の「じ」で、相手を恨むまいと結ぶ。巻第七の第二百二十一首が、恋のつらさを人のとがではないとしたのと同じく、責めを自ら引き受けている。

こひしぬ:恋の苦しさのために死ぬ
作者
源国信
出典
詞花和歌集
前の歌
夜を重ね霜とともにしおきゐれば ありしばかりの夢だにも見ず
次の歌
汲み見てし心一つをしるべにて 野中の清水忘れやはする